発電所レポート

自然エネルギー発電所めぐり(岡山編)

目指すは岡山県の銘建工業。岡山空港から無事JR岡山駅行きのバスに乗り継ぎ、岡山駅から急行で70分、津山駅で乗り換え目的地の中国勝山駅まで45分、ようやく到着しました。

その間、車窓の景色は森と山の大自然。中国勝山駅周辺は、勝山藩主三浦氏の城下町で、そのたたずまいを残す「町並み保存地区」や「侍屋敷跡」があり、また、文豪谷崎潤一郎の「細雪」直筆原稿が保存する「郷土資料館」、落差110m、日本滝百選「神庭の滝」や「湯原温泉」など、レトロな町並みを歩きながら歴史に触れ、自然を満喫できるところです。

中国勝山駅周辺

中国勝山駅周辺

今回おじゃましたのは銘建工業という会社。創業は1923年。主に住宅の柱や梁などに使用される集成材を生産しており、製造過程で発生する木屑、廃材を有効活用するために1998年バイオマス発電設備が設置されました。

2006年5月にグリーン電力設備認定を取得し、現在は1日に約100トンの木屑等をバイオマス燃料として発電用ボイラに投入、復水タービン発電機によりほぼ24時間発電を行っています。

発電により生み出された構内使用電力分の環境付加価値はバイオマスのグリーン電力証書として発行、残った電力は電力会社に販売し、もちろん蒸気も木材の乾燥や暖房等に利用して、無駄なくエネルギーを活用しています。

バイオマス発電設備

バイオマス発電設備

木の香りとぬくもりが感じられる事務所、幸運にも中島社長からお話を伺うことができました。

社長によると、製造過程で発生する木屑の最善な処理方法と、地球規模の環境問題の課題解決を考えた結果、バイオマス発電を行うに至ったとのことです。循環型社会をつくるうえでは、自然の有効活用が大切であるという意見には非常に共感しました。

国内の木材業のリーダー的存在である社長は、木材業の分野ではまだまだ欧州に比べ日本は遅れていることを危惧されており、そのような中、業界の環境貢献につながるグリーン電力証書システムに出会えたことに感謝しているとありがたいお言葉をいただきました。

製造された集成材

製造された集成材

それでは、ここからバイオマス発電の一連の流れにそって設備をご案内しましょう。

木を何層にも加工する過程で木屑が発生します。この木屑を固め、バイオマス燃料として利用しています。

バイオマス燃料はフォークリフトでボイラに投入され、ボイラ内で木屑が燃焼されます。燃焼中のボイラに水が送られると、高圧高温蒸気に変わり、配管を通って蒸気タービンへと供給されます。

バイオマス燃料/燃焼中のボイラ炉内/蒸気タービン発電機

バイオマス燃料/燃焼中のボイラ炉内/蒸気タービン発電機

欧州で流行しているペレットストーブがボイラ脇で可愛く稼働していました。

見学を終えて一言。帰路につきながら時間よりも大切なもの、資源の大切さ、地球環境保全の大切さを身にしみて感じ、また自然が生み出す力やものに逆らうことなく活動する知恵の必要性を改めて感じた1日でした。

ペレットストーブ

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